サイエンスカフェPage.43
「月とZ項」
講師: 国立天文台 RISE月惑星探査検討室 准教授 花田 英夫 氏
開催日: 2017年12月17日(日) 15:00~16:00
地球の自転軸の向きが地球に対して変わるという極運動。緯度観測所が、この観測を始めてもうじき120年になりますが、初代所長木村榮博士が発見したZ項には、最近の研究成果に結びつくものがいくつかあります。
Z項の原因は、簡単に言えば地球の外側の中心核が融けているからと、同所の若生康二郎博士は証明しました。地球の流体核は、極運動だけでなく、月や太陽の引力によって地球が変形する程度にも影響を与えます。そういえば、月の中心核も融けているかもしれないと最近の研究は示唆します。
そこで、月の自転軸の向きや月面の変形にも、Z項のような異常な変化が観測されれば、逆に月に流体核があることが証明されます。しかし、その大きさは非常に小さく、今後の高精度の観測が期待されます。
担当:花田 英夫
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