ブラックホールとは何ですか? と聞かれたら、「宇宙にあいた小さな穴」、「何でも吸いこんでしまう
恐ろしい空間」、そしてほとんどの人は、「光さえも脱出することができない重い天体」と答えるでしょう。
このように多くの皆さんには関心がありますが、詳しいことはあまりよく知られていません。調べれば調べる
ほど不思議な天体です。これから皆さんとその不思議の一端を覗いてみましょう。
ちなみに「ブラックホール」という言葉は、アメリカの物理学者ジョン・ホイーラーが1967年に命名した言葉
です。
ブラックホールのシミュレーション画像
天の川を背景として太陽質量の10倍となるブラックホールから
600km離れた視点を想定し、理論的な計算を基に作成した
シミュレーション画像
「光さえも逃げ出せない(脱出できない)星」とはどういう星でしょう。
今ボールを空に向かって投げると、ある高さにまで上がって落ちてきます。投げるボールのスピードを速く
すると、もっと高い場所まで投げ上げることができるがやっぱり落ちてきます。ではもっと早く(高速)投げる
とどうなるでしょう? もし秒速11.2km(時速4万km)の速さで投げると、地球の重力を振り切って、ボール
はもう戻ってきません。このように重力を振り切るのに必要な速さを「脱出速度」といいますが、この脱出
速度は、「星の質量(重さ)と半径」で決まります。星が重くて、小さければ小さいほど、脱出速度は大きく
なります。ではいま脱出速度が「光速」を超えてしまったらどうなるのでしょう。この世の中では、「光速」
以上の速度は出せないので、その星から脱出できないことになります。
ブラックホールとは、小さくて、質量が非常に重い星なので、脱出速度は「光速」よりはるかに大きくなると
予想されます。従ってブラックホールからは光であっても脱出することができないのです。またブラックホール
自体も光を発しないので、直接観察することはできません。ブラックホールとはそのような星なのです。
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