太陽は宇宙の中では典型的な星(恒星)であり、平均的な星です。太陽が輝いているのは、内部で水素の
核融合反応という核反応が起こっているからです。
一般に星は、宇宙を漂う星間ガスが重力の作用によって集まり、中心部が高温・高密度になると核融合反応が
はじまり、輝き始めます。太陽では、複数の水素がヘリウムになる核融合反応で輝いています。星は内部の
核融合反応による熱膨張と、発生する電磁波の輻射圧によって外に広がろうとします。したがって星の大きさ
は、外向きへの圧力と重力とが釣り合ったところで決まります。
太陽では、核融合反応の原料である水素(H2)がなくなれば、核融合反応により生成されたヘリウム(He)
が核融合反応をはじめ、ヘリウムがなくなれば炭素(C)の核融合反応が、と次々と生成された元素による
核融合反応がおこります。しかしそれも鉄(Fe)までで、鉄以上は進みません。それは鉄はどの元素よりも安定
だからです。そのため星の中心に鉄のコア(核)ができると、星は次第に冷却していきます。
冷却がはじまると外向きの力がなくなるので、星はつぶれはじめます。これを「重力崩壊」と呼びます。この
ように燃え尽きはじめた星は、まず自分自身の重力を支え切れる(縮退圧)まで支えつづけ、その後つぶれ
ます。ここで支え切ることができれば、「白色矮星」になります。星の質量が太陽の8倍以上あると、さらに
重力崩壊を起し、急激につぶれていきます。その結果、中心には中性子の塊ができ、星の崩壊が一瞬止まり
ます。その際、衝撃波が生じ、外から落下してくる物質を跳ね返し、大爆発を起こします。これがいわゆる
超新星爆発です。そして中心部に中性子星か、中性子の縮退圧で支えられない場合、ブラックホールができると
考えられています。
星の理論では白色矮星は、ある大きさ以上(太陽の質量の1.4倍)には大きくなれない、逆に言えば1.4倍以上
の白色矮星は存在しないと考えられています。したがって「重い星はブラックホールになるはずである」、と
インド出身のスプラマニアン・チャンドラセカールは予想し、論文を発表しました。この考えに対し、彼の先生
にあたるイギリスの天文学者アーサー・エディントンは「そんなことはない」と反論し、この大論争劇は今も
続いています。というのはまだ宇宙でこのような考えを裏付ける白色矮星やブラックホールが見つかっていない
からです。
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