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X線天文学がブラックホールを見つけた »

1971年、日本のX線天文学者の第一人者で宇宙物理学者である小田稔博士(1923-2001・東大名誉教授)
が、ブラックホールらしき天体を発見したのです。それは、はくちょう座の方向から強力なX線をだしており、
短い時間(0.073秒)で激しく変動している天体です。このような強烈なX線を発するということは、膨大な
エネルギーを持っているということを示しており、また激しく震動しているということは、小さい領域から、
であることを意味します。このように「小さい領域から膨大なエネルギーを放射している」ということは、
太陽のような普通の星(恒星)ではありえないのです。これが「ブラックホールというものが存在するかも
しれない」という初めての証拠となりました。現在ではこの天体は、はくちょう座(Cygnus)に発見された
1つ目のX線天体という意味で「はくちょう座Cyg X-1」と呼ばれており、ブラックホールの最有力候補の
天体の一つです。

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見えないブラックホールをどうして見つけたのか? »

ブラックホールらしき天体がはじめて観測されたのは、1970年代になってからです。ブラックホールがある、
観測されている、といっても実はブラックホールを直接見ているわけではありません。我々はブラックホールを
直接観ることはできないのです。ブラックホールの定義は、「直接光を発しないので、見えない天体」です。

では見えないブラックホールがなぜわかるのか? どうして見つけるのでしょう。それは、ブラックホールが
持つ強大な重力によってガス(物質)がブラックホールに吸い込まれる際にガスの分子同士がぶつかり合い、
その際強力なⅩ線やγ(ガンマ)線などの電磁波を発することが知られているので、そのような電磁波を発して
いる星を探すのです。そしてこのような強力な電磁波(X線やγ線)がでていることと、その質量を推定する
ことによって、ブラックホールかどうかを推定します。現在では30以上の候補天体が知られています。

今では、私たちがいる天の川銀河の中心部分にも超巨大なブラックホールが存在していることが分って
います。その大きさは、太陽のじつに400万倍以上の質量、と見積もられています。

では「ブラックホール」はほんとうに存在するのでしょうか?「光でも逃げ出せない星」というのは、
ほんとうにあるのでしょうか? その答えを出したのが、1970年代に発達したⅩ線天文学です。

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ブラックホールとは? »

ブラックホールとは何ですか? と聞かれたら、「宇宙にあいた小さな穴」、「何でも吸いこんでしまう
恐ろしい空間」、そしてほとんどの人は、「光さえも脱出することができない重い天体」と答えるでしょう。
このように多くの皆さんには関心がありますが、詳しいことはあまりよく知られていません。調べれば調べる
ほど不思議な天体です。これから皆さんとその不思議の一端を覗いてみましょう。

ちなみに「ブラックホール」という言葉は、アメリカの物理学者ジョン・ホイーラーが1967年に命名した言葉
です。

Ute Kraus; Step by Step into a Black Hole, Dec.16,2004,Space Time Travel より

 

 

 

ブラックホールのシミュレーション画像
天の川を背景として太陽質量の10倍となるブラックホールから
600km離れた視点を想定し、理論的な計算を基に作成した
シミュレーション画像

 

 

「光さえも逃げ出せない(脱出できない)星」とはどういう星でしょう。

今ボールを空に向かって投げると、ある高さにまで上がって落ちてきます。投げるボールのスピードを速く
すると、もっと高い場所まで投げ上げることができるがやっぱり落ちてきます。ではもっと早く(高速)投げる
とどうなるでしょう? もし秒速11.2km(時速4万km)の速さで投げると、地球の重力を振り切って、ボール
はもう戻ってきません。このように重力を振り切るのに必要な速さを「脱出速度」といいますが、この脱出
速度は、「星の質量(重さ)と半径」で決まります。星が重くて、小さければ小さいほど、脱出速度は大きく
なります。ではいま脱出速度が「光速」を超えてしまったらどうなるのでしょう。この世の中では、「光速」
以上の速度は出せないので、その星から脱出できないことになります。

ブラックホールとは、小さくて、質量が非常に重い星なので、脱出速度は「光速」よりはるかに大きくなると
予想されます。従ってブラックホールからは光であっても脱出することができないのです。またブラックホール
自体も光を発しないので、直接観察することはできません。ブラックホールとはそのような星なのです。

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緯度観測所の空 »

「緯度観測所」。現在の国立天文台水沢観測所です。中高年の人なら、水沢市民も近隣の人たちも、緯度観測所といって知らない人はいませんでした。観測所ができたのは、1899(明治32)年。世界共同の緯度観測が開始
され、岩手県水沢もその一つ。国際的な観測所の全体的な配置を考えた上での設置であり、「北緯39度8分」
という緯度が最初にあった訳ではありません。

 

⇒ 緯度観測所の空 (PDF)

(大江昌嗣 記)

宮沢賢治の大気循環への着想と緯度観測所の観測 »

宮沢賢治は、童話「風野又三郎」で、「大循環の話なら面白いけれどむずかしいよ。」と又三郎に言わせる。
東北にしばしば冷害をもたらした風であるが、風は日本だけのものではなく、地球を循環すること、また風には吹く法則があることを伝えようとしている。

⇒ 宮沢賢治の大気循環への着想と緯度観測所の観測 (PDF)

(大江昌嗣 記)