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月の満ち欠け早見盤作成方法 »

 

 

 

奥州宇宙遊学館オリジナル「月の満ち欠け早見盤」の作り方をご紹介します。

 

ダウンロードと印刷の方法

最初に必要な図をダウンロードします。図は、月の満ち欠け円盤、満月円盤、日付円盤、日周円盤、年周円盤の5種類あり、それぞれ図1から図4に、A4の用紙の中に描かれています。そのうち、満月円盤と日付円盤は同じ用紙に描かれています(図2)。それぞれの図の番号の次に書かれている図の名称をクリックするとダウンロード用の図が表示されます。

図をダウンロードしたら、それぞれを厚紙に印刷します。ただし、月の満ち欠け円盤だけは透明のフィルム(OHPフィルム等)に印刷します。また、連結板(図5)は、後でも触れますが、クリアファイルを利用すると便利です。その場合、図の折り返しを示す点線を、クリアファイルの折り返しの部分に合わせて、折り返したまま、かまぼこ形に切ります。印刷する紙の厚さの目安ですが、図2は0.15~0.2mmで充分ですが、図3、図4はより厚い(0.25mm以上)方がしっかりします。

 

 

  図1 月の満ち欠け円盤        

図2 満月円盤+日付円盤(2024年版)      図2b 満月円盤+日付円盤(2025年版)

­   図3 日周円盤           図4 年周円盤

­­      図5 連結板

 

円盤の切り抜き方法

図を印刷したら。それぞれ用紙から円盤を切り抜きます。月の満ち欠け円盤については、黒い円環の外側(一カ所タブあり)に沿って切り抜きます。内側の白い部分(実際は透明の部分)はそのまま残し、中心に直径5mmの丸い穴を空けます(鳩目用の穴になります)。赤い丸(太陽を表す)はカラーで印刷すればそのままで良いですが、白黒で印刷して直径9mmの赤いシールを貼っても良いです。

満月円盤、日付円盤、日周円盤、年周円盤も同様にそれぞれの一番外側の円に沿って切り抜きます。満月円盤には長いタブが付きます。黄色の丸の部分は、月の満ち欠け円盤と同様に、黄色のシールを貼っても良いです。黄色の丸の内側の白い四角の部分は切り抜きます。

日付円盤と年周円盤の内側に白い円形の部分がありますが、それらはそのまま残します。一方、日周円盤の上側にある三日月型の部分は切り抜きます。次に、4枚の円盤の中心に、図の線に沿って直径5mmの穴を空けます。年周円盤については、さらに、図のように約15mm離れた位置にも同じ大きさの穴を空けます。連結板にも直径5mmの穴を開けます。

 

組み立て方法

月の満ち欠け早見盤は、上から、日周円盤、月の満ち欠け円盤、満月円盤、日付円盤、年周円盤の5枚の円盤から成ります。

まず、月の満ち欠け円盤、満月円盤、日付円盤の3枚の円盤をこの順番で中心を合わせて上から順に重ねると、ある日付の月の満ち欠けを太陽からの角度とともに示す早見盤になります。例えば、2020年8月3日の様子を見るには、まず、月の満ち欠け円盤を回して、四角の窓の中に8の文字が入るようにします。次に満月円盤を回して窓の中に3の文字が入るようにします。すると、三枚重ねの円盤上に、8月3日の月の満ち欠けの様子が太陽とともに現れます。

文字円盤には、その年の月齢の予測値をもとに、月を表す数字(外側の数字列)の方向に、その月の新月の日付が来るように日付を表す数字列(内側)を反時計回りに配します。そうすることによって、新月の時は満月円盤の月が、月の満ち欠け円盤の太陽の下に重なり、満月の時は、その月が太陽と対向する位置に来ます。図6に8月3日の3枚の円盤の配置を示します。この早見盤では月齢を1日単位で区切っているので、0.5日以下の誤差はありますが、月齢13.4日の月が太陽のほぼ反対側に現れているのが分かります。この文字円盤は2020年用です。2021年には別の日付円盤が必要です(後日掲載します)。

 

図6 2020年8月3日に合わせた3円盤の配置

 

ある日付の月の形と方角が決まったところで、つぎに、空の中でどの方向に見えるかを調べるために、年周円盤と日周円盤を用います。上記で作成した3枚の円盤の組を年周円盤の上に置き、年周円盤の黄道軸の穴(図4の上側の円)に鳩目を通し固定します。つぎに、3枚の円盤の組の太陽の方向を、年周円盤の当該日付の方向に合わせます。8月3日の場合の合わせ方を図7に示します。後で時刻の基準になるので、太陽の方向にクリップ等を挟んでおくと便利です(図7では灰色の矢印で示します)。

 

図7 8月3日に合わせた3円盤と年周円盤

最後に、日周円盤を3円盤の上に重ねて、その中心を年周円盤の赤道軸に合わせると完成です。ただし、赤道軸の位置には3枚の円盤の組が置かれているので、年周円盤と日周円盤を直接結ぶことはできませんが、連結板(クリアファイルを切り抜いたもの等)を介してそれぞれの穴を鳩目でつなぎます。全体の組み立て図を図8に、完成した早見盤の写真を冒頭に示します。

 

 

図8 月の満ち欠け早見盤の組立図

 

<2020秋>秋に見られる銀河や惑星達が勢ぞろい! »

秋に見られる銀河たちを紹介しています!

1枚目:「アンドロメダ星雲M31」
撮影日:2020年8月19日(水曜)23:29
撮影場所:酒井天体観測所(奥州市)
撮影者:酒井 栄氏(イーハトーブ宇宙実践センター理事)

2枚目:「三角座の渦巻き銀河M33」
撮影日:2020年8月24日(月曜)23:25
撮影場所:酒井天体観測所(奥州市)
撮影者:酒井 栄氏(イーハトーブ宇宙実践センター理事)

3枚目:「秋の星座と火星が地球に接近中~!」
撮影日:2020年8月24日(月曜)22:14
撮影場所:酒井天体観測所(奥州市)
撮影者:酒井 栄氏(イーハトーブ宇宙実践センター理事)
この日は奥州市で珍しい「黄道光」が見えていました!

4枚目:「火星」
撮影日:2020年10月18日(日) 19:30頃
撮影場所:奥州市水沢
撮影者:大江昌嗣(イーハトーブ宇宙実践センター 理事長、国立天文台名誉教授)
この日は大気が安定しており、地球に接近している火星の模様を見ることができました!

火星は赤く見え、10月6日(火曜)に地球に最接近をします。
また、火星は11月6日(金曜)頃までは、マイナス2等以上で明るく見えており現在が見ごろです!

火星再接近情報については、国立天文台ホームページでもご覧いただけます。
火星が地球に最接近(2020年10月)

ペルセウス座流星群が今年も見られました! »

ペルセウス座流星群2020

 

奥州市内では、ペルセウス座流星群の極大日時となる8月12日(水曜)
22時頃はあいにくの雨天となりましたが、翌13日(木曜)午前2時50分頃、
雲間が切れた月明りの中、流星群が見られました。

1枚目:「ペルセウス座流星群を観測成功」
撮影日:2020年8月13日(木曜)
撮影場所:岩手県奥州市黒石町長田地内
撮影者:酒井 栄氏(イーハトーブ宇宙実践センター理事)

2枚目:「ペルセウス座流星群出現~!」
撮影日:2020年8月13日(木曜)
撮影場所:岩手県奥州市黒石町長田地内
撮影者:酒井 栄氏(イーハトーブ宇宙実践センター理事)

下の写真は、北国の青森県で極大日時の頃に撮影された流星群です!

3枚目:「ペルセウス座流星群」
撮影日:2020年8月12日(水曜) 22時頃撮影
撮影場所:青森県小川原湖
撮影者:木村 隆氏(金ヶ崎町)

 

Q&A流星群と散在流星の違い

 

Q 下のペルセウス座流星群の写真は、流星はどちらから流れたでしょう?

­   ①左下から右上に流れた(ペルセウス座から広がって見えた)
­   ②右上から左下に流れた(ペルセウス座がある方へ流れた)

ヒント…カシオペヤ座の下隣りにペルセウス座があるよ。

A 正解は…①「ペルセウス座流星群」はペルセウス座の放射点を中心に広がる様に流星が流れます。
­     逆に、②右上から左下に流星が流れた場合は「散在流星」となります。

「ペルセウス座流星群を観測拡大写真」
撮影日:2020年8月13日(木曜) 午前3時頃撮影
撮影場所:岩手県奥州市黒石町長田地内
撮影者:酒井 栄氏(イーハトーブ宇宙実践センター理事)

ペルセウス座流星群情報につきましては、国立天文台ホームページ「ほしぞら情報(2020年8月)」
でもご覧いただけます。

ペルセウス座流星群が極大(2020年8月)

奥州市で「ネオワイズ彗星」(C/2020 F3 (NEOWISE))を見つけることが出来ました! »

2020年3月に発見された新彗星、ネオワイズ彗星(C/2020 F3 (NEOWISE))

 

奥州市内でも7月19日(日曜)20時過ぎにネオワイズ彗星を見つけることが出来ました。

上段左:「やつとネオワイズ彗星を観測(26cm) R2-7-19」
上段右:「やつとネオワイズ彗星を観測300mmで~!D R2-7-19」
2段目:「やつとネオワイズ彗星を観測 R2-7-191」

撮影日:2020年7月19日(日曜)
撮影場所:酒井天体観測所(奥州市)
撮影者:酒井 栄氏(イーハトーブ宇宙実践センター理事)

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4枚目、5枚目の写真:「ネオワイズ彗星」

撮影日:2020年7月19日(日曜)
撮影場所:「金ヶ崎町和光展望台」
撮影者:木村 隆氏(金ヶ崎町)

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6枚目の写真:「ネオワイズ彗星」

撮影日:2020年7月19日(日曜)
撮影場所:奥州市水沢
撮影者:岡野 友由氏(イーハトーブ宇宙実践センター会員)

この写真は、同じ日時に街明りがある住宅地から見たネオワイズ彗星です。
5枚目までの写真は街明りが少ない場所より撮影されました。
街明りの有無で、彗星の見え方が違って見えることが分かります。

ネオワイズ彗星の情報については、国立天文台ホームページ「ほしぞら情報(2020年7月)」
でもご覧いただけます。こちらもご覧ください。
(速報)ネオワイズ彗星が明るい(2020年7月)

”ブラックホール”を知ろう »

今年も恒例の「いわて銀河フェスタ2016」が来る8月20日(土)、いわて銀河フェスタ2016実行委員会
(国立天文台水沢VLBI観測所、奥州市、NPO法人イーハトーブ宇宙実践センター/奥州宇宙遊学館)の主催で
開催されます。今年のテーマは

“岩手発”宇宙の不思議にせまる
いわて銀河フェスタ2016
ブラックホール研究最前線
~重力波、VLBI、スパコンで解き明かす~

会場は、国立天文台水沢及び奥州宇宙遊学館です。

 

そこで、今回の科学トピックスは、「ブラックホール」を取り上げました。

目次

☆ブラックホールとは?

★見えないブラックホールをどうして見つけたのか?

☆X線天文学がブラックホールを見つけた

★なぜ光と同じ電磁波のX線がブラックホールから出られるのか?

☆ブラックホールと重力波

★ブラックホールであることの決め手は?

☆ブラックホール-の作り方

★ブラックホールに近づくとどうなる?

☆ホワイトホールはあるのか?

(中東重雄 記)

北国で見えた彗星 »

天文・宇宙科学などを広く市民や子供たちに親しんでもらうこと、また次世代の人材育成を目的として、2004年4月に、「イーハトーブ宇宙実践センター」がスタートしました。初めは任意団体でしたが、2006年3月にはNPO法人として認可を受け、また2008年4月には奥州市から「奥州宇宙遊学館」の指定管理者として委託されるなど、活動を進めてまいりました。近年は、この北上山地に国際リニア―コライダー「ILC」を迎えるための
学習と啓蒙、また理科学の基本を楽しんでいただく「サイエンス・スクール」の展開などを進めています。この
12年間、北国のこの地で市民の皆さんと一緒に見た彗星の数々、また直接見ることは出来なかったが写真の記録として納めることができた彗星を次にまとめてみました。

 

⇒ 北国で見えた彗星-2004年から2016年- (PDF)

(大江昌嗣 記)