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「汁・知る・観知る」第1回(7月2日(土)開催)「植物の「色」について学ぶ」 の様子
「花の色の不思議」
講師:公益財団法人 岩手生物工学研究センター
主任研究員 佐々木 伸大 先生
「花の色の不思議」
講師:公益財団法人 岩手生物工学研究センター
主任研究員 佐々木 伸大 先生
ブラックホールの存在から、ホワイトホールという「すべてを放出する物体」の存在が考えられますが、
理論上は存在し得るというだけで、実際まだ確認されていません。まったく不明の物体なので分りませんが、
ホワイトホールとブラックホールの重力は同等なのではないかと考えられています。その他さまざまな議論が
なされています。例えばホワイトホールの外側にブラックホールがあるのではないか、ブラックホールにのみ
込まれたものがワームホール(時空構造を考えるとき、時空の一点から別の離れた一点へと直結する空間領域で
トンネルのような向け道のこと)を通じてホワイトホールから出てくるのではないか、とか、またホワイト
ホールが吐き出したものはすぐに外側のブラックホールに飲み込まれてしまうため、ホワイトホールとブラック
ホールはイコールである、などという考えがあります。しかし現在では全く分かっていません。
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重力はその物体との距離が近ければ近いほど強く働きます。そして「これ以上近づくと脱出速度が光速を
超える」いわゆる「出られない」という限界の距離があります。これが「シュヴァルツシルト半径」といわれる
もので、その距離を上下左右に球面として表したのが「事象の地平線」といわれています。この事象の地平線
より内側に入ってしまうと光でも出ることができません。
重力もシュヴァルツシルト半径くらいの短い距離になると、ある大きさを持つ物体、たとえば人間が近づいた
とすると、ブラックホールに近い側と遠い側とでは重力に大きな差ができるため、近い側では遠い側より強く
引っ張られ、引き伸ばされ、変形します。そして引きちぎられてバラバラになり、ブラックホールの中に吸い
込まれてしまうと考えられています。
この様子を他の天体から眺めてみると、一般相対性理論によれば、まず落ちていく物体は、重力でものすごい
スピードで引き込まれていくため(外から見ている人から見れば、自分から遠ざかっていく)、光の赤方偏移が
おこり、だんだん赤くなり、その物体から発せられる電磁波が可視光の範囲を通り過ぎた途端、見えなくなって
しまいます。次にその物体がいつまでもそこで止まっているように見えます。速度が大きくなるということは、
その物体の時間の流れが遅くなるからです。そして最終的には「事象の地平面」の位置で「停止してしまう」
ように見えます。
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太陽は宇宙の中では典型的な星(恒星)であり、平均的な星です。太陽が輝いているのは、内部で水素の
核融合反応という核反応が起こっているからです。
一般に星は、宇宙を漂う星間ガスが重力の作用によって集まり、中心部が高温・高密度になると核融合反応が
はじまり、輝き始めます。太陽では、複数の水素がヘリウムになる核融合反応で輝いています。星は内部の
核融合反応による熱膨張と、発生する電磁波の輻射圧によって外に広がろうとします。したがって星の大きさ
は、外向きへの圧力と重力とが釣り合ったところで決まります。
太陽では、核融合反応の原料である水素(H2)がなくなれば、核融合反応により生成されたヘリウム(He)
が核融合反応をはじめ、ヘリウムがなくなれば炭素(C)の核融合反応が、と次々と生成された元素による
核融合反応がおこります。しかしそれも鉄(Fe)までで、鉄以上は進みません。それは鉄はどの元素よりも安定
だからです。そのため星の中心に鉄のコア(核)ができると、星は次第に冷却していきます。
冷却がはじまると外向きの力がなくなるので、星はつぶれはじめます。これを「重力崩壊」と呼びます。この
ように燃え尽きはじめた星は、まず自分自身の重力を支え切れる(縮退圧)まで支えつづけ、その後つぶれ
ます。ここで支え切ることができれば、「白色矮星」になります。星の質量が太陽の8倍以上あると、さらに
重力崩壊を起し、急激につぶれていきます。その結果、中心には中性子の塊ができ、星の崩壊が一瞬止まり
ます。その際、衝撃波が生じ、外から落下してくる物質を跳ね返し、大爆発を起こします。これがいわゆる
超新星爆発です。そして中心部に中性子星か、中性子の縮退圧で支えられない場合、ブラックホールができると
考えられています。
星の理論では白色矮星は、ある大きさ以上(太陽の質量の1.4倍)には大きくなれない、逆に言えば1.4倍以上
の白色矮星は存在しないと考えられています。したがって「重い星はブラックホールになるはずである」、と
インド出身のスプラマニアン・チャンドラセカールは予想し、論文を発表しました。この考えに対し、彼の先生
にあたるイギリスの天文学者アーサー・エディントンは「そんなことはない」と反論し、この大論争劇は今も
続いています。というのはまだ宇宙でこのような考えを裏付ける白色矮星やブラックホールが見つかっていない
からです。
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― 一般相対性理論より ―
1915年に発表された一般相対性理論の骨子である「アインシュタイン方程式」の特殊解として、ブラック
ホールの存在が予測されました。
・・・・・・(1)
(1)式は、重力場方程式と呼ばれるもので、「物質があると時空はどう曲がるのか」を示す式です。左辺は
「時空のゆがみ具合」を示し、右辺は「物質が持つエネルギー」を示します。この式を解くと、星や銀河などの
物質の重力により宇宙は収縮して終わりを迎えることになります。そこでアインシュタインは、重力を押し返す
力(斥力)を持たせるために宇宙定数と呼ばれる「Λgμv」を書き加えます。
・・・・・・(2)
この(2)式について、ドイツ・ポツダム天文台長のカール・シュヴァルツシルトが、「球状の天体があり、
その周辺が真空」という仮定条件のもと、「時空(時間と空間)が球対称」という条件を付けて方程式を
解きました。すなわち、「時空が真空で(アインシュタイン方程式の右辺がゼロ)、中心にだけに星がある
ような球対称構造で、さらに時間変化しない場合」という条件です。
ここで、Mは質量。Gは万有引力定数、cは光速を表わし、rは球対称時空の動径半径を表わします。
シュヴァルツシルトの解には、不思議な点が含まれています。「無限大」が発生する箇所が2つあります。
1つはr=0で、中心点の時空特異点(物質を置いたところの原点)です。もう一つはr=rgです。これは
「シュヴァルツシルト半径」と呼ばれます。r=0の特異点がブラックホールの中心であり、r=rgの特異点が
ブラックホールの「地平面の位置」を表わします。すなわち、この地平面は強い重力の影響で光さえも脱出
できないブラックホールの「境界面」を表わしているのです。
この「シュヴァルツシルト半径」はどのような物体に対しても計算することができます。例えば質量が
1.989×1027kg、大きさが6.96×105kmの太陽のシュヴァルツシルト半径は、約3kmとなります。すなわち、
太陽がそのままの質量で、その大きさを約3kmにまでギューッと圧縮したとするとブラックホールにります。
同様に地球の場合(質量5.972×1024kg、大きさ6365km)のシュヴァルツシルト半径は、約9mmとなります。
このように天体の質量とサイズとから、その天体がブラックホールであるかどうか推測することができます。
― 強力X線源による判定 ―
ブラックホールを見い出す手がかりの一つとして、強力なX線を発生している天体があります。しかし
ちょっと不思議なことですが、光と同じ電磁波であるX線を発生している天体が、ブラックホールだなんて?
ブラックホールからのX線発生のメカニズムは、「なぜ光と同じ電磁波であるX線がブラックホールから
出られるのか?」の項で説明したように、ブラックホールはペアである恒星のガスをはぎ取ることができ、
はぎ取られたガスがブラックホール周辺に「降着円盤」を形成し、その円盤の中心が1000万度近くにまでなり、
X線が発生・放射される、と考えられているからです。この時このX線は、強い重力で赤方偏移(スペクトルが
長波長側(可視光でいうと赤に近い方にずれる))により、より短い波長の電磁波になり、強いX線(源)に
なります。これだけのエネルギーを放出することができるような仕組みは、ブラックホール以外に考えらえない
ということで、現在は強いX線源は、ブラックホールと考えられています。
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重力波とは、「質量を持った物体が存在すると、それだけで時空(重力場)にゆがみ(ひずみ)ができ、曲率
が生じる。そしてその物体が運動すると、この時空の「ゆがみ」がそのまま光速度で伝わる。言いかえれば、
「ゆがみ」の時間的な変動が、波動として光速度で伝播する、という現象です。このような「ゆがみのうねり
(波)」が重力波です(図-1)。
この重力波は、アインシュタインの一般相対性理論(1961年)に
基づいてその存在が予言されていましたが、100年もの間世界中の
研究者らによって検出が試みられたが、検出することができません
でした。しかしついに2016年2月11日、アメリカのLIGO科学
コラボレーションが初めて直接捕えることに成功しました。
重力波は、巨大な質量を持つ天体が光速に近い速度で運動するときに
発生する波なので、例えばブラックホールのように大きな質量をもった
天体が「連星系を形成したり」、「衝突したりする」ことによって生じ
ます。
今回直接検出された重力波は、すでにその存在が確認されている
天体、たとえば超高密度の天体である中性子星の2つからなる連星が
合体する際に生じたものとほとんどの研究者は予想していました。
しかし解析の結果、2つのブラックホールが合体したことによって
生じた重力波であることがわかり、研究者たちもびっくりしています。
※1 中日新聞http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK201621202000111.html?ref=rank より
今回直接検出された重力波は、解析の結果約13億光年離れた銀河で、太陽の29倍と36倍の質量をもつ
2つのブラックホールが衝突したために生じた重力波であることが分かりました。衝突した時点では、太陽の
3倍の質量が一瞬でエネルギーに変換されたと解析されています(図-2)。
(図-2)合体する直前のブラックホール連星のイメージ図
The Simulating eXtreme Spacetimes (SXS) project [Http:www.black-holes.org] より
ブラックホールの存在が確認された!?
また今回検出された重力波は、ブラックホールの存在をも明らかにしました。ブラックホール同士が合体した
際に生じたということで、ブラックホールの存在そのものが確認されたのと同時に、ブラックホールが連星と
なることや、合体してより大質量のブラックホールになることがある、ということも明らかになりました。
さらに研究者らは、解析されたブラックホールの質量について驚いています。というのは、これまでブラック
ホールの質量は、重くても10太陽質量程度と考えられていました。10~100万太陽質量のブラックホールの存在
は確認されていなかったので、今回そのような空白地帯に、30太陽質量前後のブラックホールが連星という形で
同時に見つかった、ということも注目されています。ちなみに、天の川銀河の中心には数100万から数10億
太陽質量に達する巨大ブラックホールが存在することも確実視されています。
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ブラックホールから光(電磁波)は脱出することはできません。X線は光と同じ電磁波の一種ですがなぜ同じ
電磁波なのにX線だけがブラックホールから出られるのでしょうか?
じつは、X線はブラックホールそのものから出ているのではありません。X線はブラックホールのごく近傍から
放射されているのです。したがってブラックホールが単独に存在する場合、X線は放出されません。X線が
ブラックホール近くから放射されるためには、「ブラックホールと太陽のような恒星が、ペアになっている」
という条件が必要です。ではどのようにしてX線は放射されるのでしょうか?
X線放射のメカニズムは、(1)ブラックホールはペアである恒星のガスをはぎ取ることができる、
(2)はぎ取られたガスはすぐにブラックホールに向かわず、ブラックホールの周りを回転するようにゆっくり
とブラックホールに向かい、(3)ブラックホールの周辺に円盤が形成されます。これを「降着円盤」と言い
ます。その円盤の中心は、1000万度近くにまで熱くなり、(4)このような高温状態になることによりX線が
放射される、と考えられています。
一方、太陽質量の10倍以上の大きな恒星が進化すると、超新星爆発をおこし、最晩年には「中性子星」と
なります。するとブラックホールの場合と同様、降着円盤が形成され、そこからX線が放射される、と考え
られています。またブラックホールでは表面からのX線放射はありませんが、中性子星では表面からもX線放射が
あると考えられています。これがブラックホールと中性子星との大きな違いです。
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