サイエンスカフェPage.41 総評

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「私が体験した東日本大震災~そのとき大地はどう動いたか~」
講師: 国立天文台 水沢VLBI観測所 助教 田村良明 氏
開催日: 2017年6月18日(日) 15:00~16:00

 「私が体験した東日本大震災」という題でお話したが、実は偽りがある。正しくは、私が「体験できなかった」東日本大震災、なのである。地震発生当日は出張中で、その時私は北越急行の特急電車の中にいて、新潟県の越後湯沢駅にまもなく到着するところであった。
地震が発生したとき、もし自分が東北地方の太平洋沿岸地域にいたとしたら、どういう行動をとったであろうか、と想像したことから話の筋を考えた。
この地震は、主要な振動(断層の破壊過程)が2分ほど続いている。大きな揺れが2分も続き、その後も揺れがなかなか収まらない。とんでもない大きな地震が発生したと想像したはずである。ラジオやテレビの報道が無くても「大津波が来る」と叫んでいたと思う。しかし、安全なところまで避難していたであろうか。どこかのビルの3階か4階に避難していて、そこで津波に襲われて犠牲者の1名に加わっていたかもしれないのである。
地震のことは直接的には研究していなかったが、地球の変形や、地面の動きを探る研究(測地学)というものをずっと続けており、地震や津波のことは知っているつもりでいた。震災前に田老町や普代村の防潮堤も見ているし、綾里では津波が30mの高さまで遡上したという所も見ていた。それでも東日本大震災で発生した10mを超える津波というものがどんな物であるか、想像が及ばなかった。自分の知識や経験といったものがいかに不足していたか思い知らされた地震であった。研究の紹介だけでなく、こういった思いを少しでも伝えたいと、資料を用意した。
講演では、GPSを使った観測で、副題にあげた「そのとき大地はどのように動いたか」を示す図や動画を紹介した。地震発生時に水沢の地は東南東に約2.3m、2016年末の時点では地震前から4.0mも変位している。それがどんなに大きな動きであったか、分かっていただけたであろうか。
担当:田村 良明

 

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