なぜ光と同じ電磁波のX線がブラックホールから出られるのか?

ブラックホールから光(電磁波)は脱出することはできません。X線は光と同じ電磁波の一種ですがなぜ同じ
電磁波なのにX線だけがブラックホールから出られるのでしょうか?

じつは、X線はブラックホールそのものから出ているのではありません。X線はブラックホールのごく近傍から
放射されているのです。したがってブラックホールが単独に存在する場合、X線は放出されません。X線が
ブラックホール近くから放射されるためには、「ブラックホールと太陽のような恒星が、ペアになっている」
という条件が必要です。ではどのようにしてX線は放射されるのでしょうか?

X線放射のメカニズムは、(1)ブラックホールはペアである恒星のガスをはぎ取ることができる、
(2)はぎ取られたガスはすぐにブラックホールに向かわず、ブラックホールの周りを回転するようにゆっくり
とブラックホールに向かい、(3)ブラックホールの周辺に円盤が形成されます。これを「降着円盤」と言い
ます。その円盤の中心は、1000万度近くにまで熱くなり、(4)このような高温状態になることによりX線が
放射される、と考えられています。

一方、太陽質量の10倍以上の大きな恒星が進化すると、超新星爆発をおこし、最晩年には「中性子星」と
なります。するとブラックホールの場合と同様、降着円盤が形成され、そこからX線が放射される、と考え
られています。またブラックホールでは表面からのX線放射はありませんが、中性子星では表面からもX線放射が
あると考えられています。これがブラックホールと中性子星との大きな違いです。

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