ブラックホールに近づくとどうなる?

重力はその物体との距離が近ければ近いほど強く働きます。そして「これ以上近づくと脱出速度が光速を
超える」いわゆる「出られない」という限界の距離があります。これが「シュヴァルツシルト半径」といわれる
もので、その距離を上下左右に球面として表したのが「事象の地平線」といわれています。この事象の地平線
より内側に入ってしまうと光でも出ることができません。

重力もシュヴァルツシルト半径くらいの短い距離になると、ある大きさを持つ物体、たとえば人間が近づいた
とすると、ブラックホールに近い側と遠い側とでは重力に大きな差ができるため、近い側では遠い側より強く
引っ張られ、引き伸ばされ、変形します。そして引きちぎられてバラバラになり、ブラックホールの中に吸い
込まれてしまうと考えられています。

この様子を他の天体から眺めてみると、一般相対性理論によれば、まず落ちていく物体は、重力でものすごい
スピードで引き込まれていくため(外から見ている人から見れば、自分から遠ざかっていく)、光の赤方偏移が
おこり、だんだん赤くなり、その物体から発せられる電磁波が可視光の範囲を通り過ぎた途端、見えなくなって
しまいます。次にその物体がいつまでもそこで止まっているように見えます。速度が大きくなるということは、
その物体の時間の流れが遅くなるからです。そして最終的には「事象の地平面」の位置で「停止してしまう」
ように見えます。

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